「米雇用統計」で為替市場の流れは変わるか?

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  • 日銀追加緩和策 + 政府経済対策 + 介入 への期待でショート・カバー。
  • 週明け、日銀が臨時政策決定会合を開催したが、期待外れの内容にドル/円、クロス/円は急落。
  • ADP民間雇用者数は弱い結果に、ドル/円は一時83円半ばまで下落するも、NYダウが堅調に推移したこと、米8月ISM製造業景況指数の好結果を受け、ドル/円、クロス円は上昇。
  • 明日発表の米雇用統計の市場予想は、失業率が前月比0.1%悪化の9.6%、非農業部門雇用者数が前月比10万人減。

⇒予想より悪い結果になったときの、クロス円を中心とした円高の動きの方が、良い結果になったときの円安の動きよりも、より大きな値幅で長続きすると予想。

 

円高になった時のドル/円の底値の目安は、月足ボリンジャーバンド-2σのある82円台前半近辺や、ドル/円の戦後最安値の79.75円近辺と予想。

日銀追加緩和策 + 政府経済対策 + 介入 への期待でショート・カバー

先週25日、日経新聞が「日銀が追加緩和検討、臨時会合で決定も。
財務省は単独介入も視野に。」と報じたこと、一部報道が「野田財務相がガイトナー米財務長官との電話会談を検討している。」「複数の政府筋は、為替市場での円売り介入について排除していない、と述べた。」と報じたことなどから、日本政府が為替介入に向けた動きを具体化させているのではとの思惑が高まり、ドル/円、クロス円は買戻しの動きが強まりました。

 

その後27日には、菅首相が「為替市場の過度な変動」について「必要な時には断固たる措置をとる」と述べたことで、米国などの合意が得られ、一層介入が現実味を帯びた、との思惑が拡がり、ドル/円、クロス円の買い戻しが進みました。

 

27日、米ワイオミング州ジャクソンホールで開催されたカンザスシティー連銀主催のシンポジウムで、バーナンキ米FRB議長の講演が行われました。
一部で、追加的な緩和策の発表があるのでは?との思惑もある中、議長は「必要があれば追加刺激策の用意がある」ものの「現時点ではいかなる決定もなされていない」、「2011年には成長が持ち直すという前提は変わっていない」と述べ、米金利およびNYダウが反発、ドル/円、クロス円も一段高となって先週末を迎えました。

週明け、日銀が臨時政策決定会合を開催したが・・・

先週末、ジャクソンホールでのシンポジウムに参加していた白川日銀総裁は、予定を1日繰り上げ29日に帰国しました。
週明けの30日、早朝各報道機関に日銀が電子メールで「本日9時より臨時金融政策委員会を開催する」と通知しました。
市場では、事前に報道されていた「新型オペ」の20兆円から30兆円への増額と、期間を6ヶ月にするという内容以外にも、オペの金利を引き下げることや、国債の買い入れ枠の増額など踏み込んだ内容になるのでは?との期待も一部にありました。
そうなれば円高傾向に歯止めが掛かるとの思惑で、朝方から円安の動きがさらに進みました。

 

昼過ぎに日銀から発表された委員会の結論は、事前の新聞報道と完全に一致、一部で期待されていたような踏み込んだ内容はありませんでした。
その結果、「噂で買って事実で売れ」という相場の格言通りの展開となって、円高が急速に進みドル/円、クロス円は急落しました。
その日の海外市場でも、弱い株式市場動向や、米長期金利の低下を受けて円買いが進み、ドル/円、クロス円とも売られる展開が続きました。

ADP民間雇用者数は弱い結果

毎月米労務省が雇用統計を発表する第一金曜日の2日前の水曜日、民間の給与明細書作成代行会社のADP社などが独自の民間雇用者数のデータを発表しています。
このデータは、労務省の発表する非農業部門雇用者数とは乖離も大きく、またトレンドも必ずしも一致していませんが、発表日が近く、多くのサンプルを元に作成していることなどがら、雇用統計の先行指標として毎回注目されています。

 

昨日9月1日に発表された8月ADP民間雇用者数は、市場予想の1.5万人増に対し、1.0万人減と弱い結果でした。
この結果を受け一時円買いが強まって、ドル/円は83台半ばまで下落する場面もありました。
しかしながら、NYダウが堅調に推移したこと、その後に発表された米8月ISM製造業景況指数が予想よりも強い結果だったことなどから、リスク選好の動きとなって円売りが強まり、ドル/円、クロス円は上昇しています。

明日(午後9時30分)発表の米雇用統計の予想とその影響は?

このところの円高は、米国の各種経済指標が悪化していることから、バーナンキFRB議長も認めているように、米景気回復が後退するとまでは言わなくとも、少なくとも大幅にスローダウンすると見られること、それに伴って、米長期金利が歴史的な水準まで下落していること、また、ユーロ圏諸国の財政赤字問題に端を発したソブリンリスク懸念が再びクローズアップされていることなどによって、投資家のリスク回避姿勢が強まっていることなどが原因です。
米国の景気回復の大きな障害になっているのが、雇用情勢の正常化の遅れと考えられますので、米雇用統計は非常に重要な経済指標です。

 

金融危機以来急速に悪化した米雇用統計ですが、昨年10月失業率がピークを打ち、非農業部門雇用者数も今年に入って前月比増の結果となっていました。
ところが、失業率こそ横ばいですが、非農業部門雇用者数が今年6月(7月発表分)から再び前月比減となっており、景気回復最大の懸念となっています。
明日発表の8月分では、失業率が前月比0.1%悪化の9.6%、非農業部門雇用者数が、3ヶ月連続の前月比減となる10万人減、が予想されています。

 

現在の為替市場は、円高方向の材料に敏感になっていると考えられることから、悪い結果になったときの、クロス円を中心とした円高の動きの方が、良い結果になったときの円安の動きよりもより大きな値幅で、長続きすると予想しています。

 

円高になった時、ドル/円の底値の目安としては、月足ボリンジャーバンド-2σのある82円台前半近辺や、ドル/円の戦後最安値の79.75円近辺などが考えられます。